旅好きなFunkycorpのスタッフが感じたサステナブル・ツーリズムとは?

昨今、「サステナブル・ツーリズム」という旅のスタイルに対する注目度が高まってきていますが、実際に「サステナブル・ツーリズム」がどういったものなのかという理解において、地元企業側と外国人観光客側の間にはギャップがあります。その違いを正確に把握し、観光施設側がサステナブルな取り組みについて伝える方法を改善することで、顧客満足度の向上に繋げられるのではないでしょうか。

「エコ・ツーリズム」や「スロー・トラベル」などの言葉が浸透して久いですが、新型コロナウイルスのパンデミックにより観光客の意識や、旅に求める内容に変化が生まれ、周囲の環境に配慮することで旅行先への影響を減らし、文化や環境を尊重するというコンセプトが重要視されてきています。

Hiroko Yoshii – Unsplash

この記事の中で

エコから進化したサステナブル・ツーリズム
身近で始まっていた試み
情報格差
海外からの視点
時間と予算の使い方に見られる変化

エコから進化したサステナブル・ツーリズム

「サステナブル・ツーリズム」とは、宿泊施設などでシーツ・タオルの交換を毎日行わない、必要なアメニティのみを選んで部屋に持ち帰り使用する、などの取り組みのみを単純に指しているわけではなく、未来を見据えた自然環境への配慮、文化・伝統など本来の姿を守り活用しながら、本物の体験を提供し観光客と住民両方のニーズに応え、地域に還元・経済成長に繋げる持続可能なサイクルを築き上げた旅のスタイルを意味しています。

インテリアや料理、アメニティなどに地元産の素材を使用する宿泊施設や、1日あたりの立ち入り人数の制限を設けている観光スポットなどは、その取り組みに関する情報を発信することで、より意識の高い観光客を呼び込めると同時に、その運営を通じて自然環境の保全や地域社会・経済の発展にも貢献できるのです。

身近で始まっていた試み

新しく感じる「サステナブル・ツーリズム」ですが、気づかないところで意外と浸透している場合もあります。例えば、よく目にする平日の利用(連続宿泊など)に対して割引サービスを行っている施設なども、その一つと言えるでしょう。週末での集中した混雑の緩和に繋がり、平日にも一定の観光客の集客が可能となるため、施設自体はもちろん、地元社会にも安定した収益が見込めるわけです。

情報格差

海外では広く認知されている「サステナブル・ツーリズム」ですが、比較すると日本での認知度はあまり高いとは言えません。例えば、2021年度のBooking.com調査によると、外国人観光客の81%がサステナブルな宿泊施設に滞在したいと回答したのに対し、日本人観光客の回答は36%にとどまっており、理由として「サステナブル・ツーリズム」という言葉に馴染みがないためと考えられます。具体的な取り組みを積極的に情報発信することで、日本人を含めた旅行者側が現地に関する知識を深めることが可能となり、また、自分たちが旅行先への還元に貢献していると実感できるのです。さらに、その土地ならではの体験に価値や満足感を見出し、旅の質を高めることに繋がるのです。

Bobby Hendry – Unsplash

海外からの視点

最近Booking.comにより行われた調査によると、海外からの観光客の3分の2以上が「観光産業が生み出す利益を地域社会にも還元してほしい」と答え、40%が「旅行の選択に気を配ることで地域社会や経済をサポートしたい」と考えていることがわかりました。観光客は、旅行先の資源を保護し維持する必要性をより強く認識するようになっています。

時間と予算の使い方に見られる変化

かつては、観光名所を訪れて「見る」だけで満足する旅行者が大半でしたが、最近では旅行者の意識や価値観の変化から「体験」「本物」「品質」「背景」が重視されるようになってきており、特に外国人旅行者は多少費用がかかっても、その地域でしか味わうことのできない特別な体験を求める傾向が強くなっています。「サステナブル・ツーリズム」には、時間的・経済的な「ゆとり」が必要なケースも多々あり、より心身ともに高い満足度が得られる旅のスタイルが求められているのです。

「Expedia Sustainable Travel Study 2022」によると、海外旅行者の50%がサステナブルな旅を選択するためにより多くのお金を払い、74%が「地域社会や文化をサポートしている旅行先や宿泊施設を選ぶ」と回答しています。しかし、それと同時に多くの人々が「サステナブル・ツーリズム」に関する情報が未だ少ないという理由から、こういった旅を計画することに負担を感じており、旅行先の公式ウェブサイトなどを始めとした、信頼できるソース元からの情報が求められています。

日本には国立公園や手つかずの自然、質の高いハイキングコースやサイクリングコース、温泉、そして魅力的な文化があり、観光客に満足度の高い「サステナブル・ツーリズム」を提供できる基盤は整っています。適切な方法で世界に情報発信することで、さらなる可能性が広がっていくと考えられます。

次回「Adventure Travel」!

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